マラナタ 主よ 来てください!


畠神父


 第20回百日連帯共同祈願ミサ

第20回 百日連帯共同祈願ミサへの招き


 「平和を実現する人々は、幸いである。その人々は神の子と呼ばれる」
                       (マタイ5章9節)
 亡き父ヨセフ畠良一の思い出に

第19回百日連帯共同祈願は聖霊降臨の日から始めて第19回聖霊による刷新全国大会三日目8月26日まで100日間続けられました。そして、参加者の一人91歳の私の父は、翌日平和のうちに静かに御父のみもとに旅立ちました。息子の私を応援するために、第一回目の共同祈願から参加し、次第に衰える心身の中でも、最期まで祈り続けてくれたのです。今回の共同祈願の参加者は515人と激減しましたが、池田教会では、奇跡的な事が起こり始めました。一つは40代の女性で自動車に撥ねられて前輪と後輪にひかれましたが、骨一つ折れずに命が救われたことと、もう一つは、脳腫瘍で手術をしなければ余命一か月と宣告された人が、手術を受けると腫瘍は発見されず、手術後の集中治療室では、十字架のイエスが彼女の体に入り、病院の中を歩き続ける夢を見たのでした。彼女の証言では、その後、渇くという叫びとともに目覚め、気づくと痛みはなくなり元気が回復したとのことです。アレルヤ、神に感謝!

ちょうどそれらの奇跡が起こったころ、わたしは黙想会を指導しており、これまで聖母マリアについて黙想の題材としたことがなかったので、マリアさまに関する資料を集め、考察していたところでした。そして黙想会で思い出したことは、神学生の時、父が狭心症になり、いつ発作が起こって心筋梗塞を起こし死に至るかわからないと医者から告げられても、父は頑なに入院を拒否しているとの母の報告でした。その報告を聞いた夜、わたしは心配で眠れなくなり、夜通しロザリオの祈りを唱え続けていると明け方、父の後ろに立っているマリアさまのビジョンを見たのです。そして、瞬間的に何とも言えぬ平安が訪れたことがありました。その後、わたしの説得で父は三か月入院し、元気を回復し心臓は癒されました。父をこんな病気にさせたのは、わたしが大学卒業後父には相談せず修道会に入り、父の全く知らない世界に行ってしまったさびしい思いをさせたことが原因でした。息子を取られたと話すのが口癖になり、ついに生きる意欲まで奪っていたのでした。その父をマリアさまが助けてくださったのです。明日にも死ぬかもしれないと医者に驚かされた父が、その後35年も生きたのですから。・・・

父の思い出を語らせてください。父は幼少で両親に死別し、親族から邪魔者扱いを受け、小学校の勉強も十分させてもらえませんでした。親もなく、学歴もなく、ツテもコネもなく、身一つで、戦前、戦中、戦後をがむしゃらに生き働いてきた父は、母と結婚するまで人間らしい生活をしたことがなかったと述懐していました。結婚しない道を選んだわたしに父は、人間として成熟する機会を失ったので残念だ、それでもよいのか、自分で選んだ道は途中でやめてはいけないのだぞと諭しました。司祭職への道を反対したのではなく、親心から言ってくれたのでした。その父に危機が訪れたのは、母の死の時でした。広島で被爆した母は、何度か大病しては病を克服し、その後父と二人で牛乳配達店を営み、息子二人を大学まで行かせてくれました。癌を患って牛乳店を廃業したのち、晩年の12年間は京都教区の司教館で奉仕した後、気管支の癌で亡くなりました。苦労を共にした母を失うことは父には耐えられない悲しみだったので、すぐに後から行くからなと声をかけていました。その父が、母の一番喜ぶことは、自分が洗礼を受けることだと思うに至り洗礼を望みました。河原町教会で教理を即席で学んだあと、四旬節の主日の日でしたが、奇しくも2月11日のルルドの聖母の記念日に重なり洗礼を私から受けました。

母が亡くなると、茫然自失だった父は、身寄りのないことがどれほどつらかったかを思い、兄と私のために、存在すること、母がしていた家族のための祈りを継続することを自分の本分としました。61歳から79歳までメインテナンス会社に勤め、癌で職を辞し「ケアハウス神の園」に入居しました。79歳から91歳まで会社勤務でのノウハウを生かしたボランティア活動や教会のミサや黙想会にも参加し、信者生活を教わりながら「司祭の父」としての緊張と誇りをもって日々を過ごしていました。12年間で肺がん、喉頭がん、胃がん、前立腺がん、膀胱がんと何度も闘病生活をしましたが、「渡る世間に鬼はいない」は、晩年の父の口癖となり、職員や園の入居者たちとの家族的な交わりを楽しみ喜んでいました。昨年の暮れから膀胱がん悪化し、入退院を繰り返しましたが、来るべき時が来ました。「こんなに愛されて幸せな男はない」。細かいことはわからないが、すべて赦してほしいと願ったので、赦しの秘跡と全免償を授け、臨終の最期の秘跡、病者の塗油とご聖体の秘跡を授けました。別れ際に父の手にキスをしました。今思い起こすと、父ヨセフの労働の手にイエスさまが祝福されたのだと悟りました。父への感謝の最大の祝福だったと思うと心からの喜び、愛、平和、感謝があふれてきました。そして、全国大会の準備と大会に没頭しているわたしには、何の不安もなくすべてをマリアさまにゆだねることができました。35年前に父の傍らにおられたマリアさまは、あの時から、父の幸せな死を準備し、聖家族の一員として永遠の宴に招かれたのだと思えるのです。
聖母マリアさまは、どれほどこの小さな家族に憐みの目を注いで導かれていたか、そして、司祭のわたしが一年に一日か二日しか過ごせなかった母や父の寂しさやわたしの親不孝を補って余りあるほどの愛を注いでくださったのです。「鋤に手をかけてから後ろを顧みる者は神の国にふさわしくない(ルカ9・62)」とイエスさまは弟子には厳しいのですが、わたしの修道生活、司祭職を喜んで歩めるように、マリアさまが救い主の母として、どんなにかわたしの母や父のことをいたわり幸せな生涯を全うできるように見守り、逆境の時、病気の時、そして死を迎えるときに執り成してくださったのか思い起こせます。

そうです。百日の共同祈願は、まさに救い主母マリアの「とりなしの祈り」です。イエスの憐みの心により頼む祈りです。すべては御父が愛されるものの死を、病を、苦しみを、痛みを、そのままにしておけない、無関心ではいられない祈りです。教皇様は、「私の心を痛め悩ませる多くの争いがこの世界にありますが、最近特に心を痛めるのは今シリアで起こっている問題です」と、9月7日(平和の元后・聖マリアの誕生の前日)に「シリアと中近東、そして全世界の平和のための祈りと断食の日」として共に祈るようにと信者に檄を飛ばされました。その日、10万人の人々が教皇様とともに祈りと償いの心をもってサンピエトロ広場で共に祈りました。私たちもまた報せを受けたのが遅かったけれども何らかの形で祈りに参加しました。教皇様は「地上の平和」の回勅を書かれた教皇ヨハネ23世に言及して言われます。「この世界に平和が実現するためにわたしたちは何ができるでしょうか? 教皇ヨハネ23世が言われたように、一人ひとりの人間が正義と愛の導きのもとに、人間社会の中に新しい関係を築き上げることです。すべての善意の人には平和を追求する義務があります」。

わたしたち一人ひとりは小さい者ですが、「わたしが愛したように、互いに愛しなさい。互いに愛し合うならば、それによってあなたがたがわたしの弟子であることを皆が知るようになる(ヨハネ13:34~35)」と遺言されたイエスの新しい契約(絆)に生きる仲間たちが世界中にいることに励まされます。教皇様は若者たちに語りかけられたように、わたしたちにも話しかけられました。「今日わたしは、世界中の人々の、一人ひとりの心から立ち上がる叫び声に、人類の大家族から立ち上がる叫び声に、私の声を合わせたいと思います。平和を求める叫びです。・・・二度と戦争をするな!戦争はもうたくさんだ!という叫びです。平和は貴重な賜物です、大事に守り育てなければならないものです」。

わたしたちも勇気をもって叫びましょう。第20回百日連帯共同祈願ミサを、教皇様の意向とともに、「平和のための祈り」として新しい聖霊降臨を願い求めて共に祈りましょう。今回は、9月21日マタイ福音記者の祝日より12月29日聖家族の祝日までの100日間を祈ります。毎日ミサで皆様の祈りを奉納します。
 
 第20回百日連帯共同祈願ミサ
9月21日 ~ 12月29日 (百日間)
聖霊 来てください。
  ✚ 平和を求める祈り(アシジのフランシスコ)
  わたしを あなたの平和の道具としてお使いください。
  憎しみのあるところに 愛を
  いさかいのあるところに ゆるしを
  分裂のあるところに 一致を
  疑惑のあるところに 信仰を
  誤っているところに 真理を
  絶望のあるところに 希望を
  闇に光を 悲しみのあるところに
  喜びをもたらすものとしてください
  慰められるよりは 慰めることを
  理解されるよりは 理解することを
  愛されるよりは 愛することを
  わたしが求めますように
  わたしたちは与えるから受け ゆるすからゆるされ
  自分を捨てて死に
  永遠の生命をいただくのですから
 聖母マリアのとりなしを願って
 ロザリオの祈り この一連をささげましょう。
1、 教皇の意向を祈る。
2、 聖霊による刷新の意向
3、 各自の共同体の意向
4、 自分の意向
5、 平和のための意向

結び:栄光は父と子と聖霊に はじめのように今もいつも世々に アーメン

 祝叙階三十周年 
 聖霊による刷新関西委員会 委員長 畠 基幸 神父
 (2013年9月14日発送)
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